こんにちは、t村です。
早いもので師走も中旬を迎えました。
株式相場はというと、10月の暴落が終わって一息ついたかと思えばまた暴落が起きました。
12/10なんかは、東証一部の値下がり銘柄91%という驚異的な事態です。
今日12日は少し反発しましたが、年末相場に突入できるか見ものですね。
さてそんな中、公務員には冬のボーナスが配られました。
都内の役所の支給日は12月10日です。
都内の役所とは、都庁、特別区の23区役所、市役所があり、そこで働く人はすべて地方公務員です。
で、それぞれの役所は独自に給与条例というものを作っており、それに基づき給与が支給されます。
今回は地方公務員のボーナスの一例として、東京都の給与条例をもとに東京都職員のボーナスを解説していきます。
ちなみによく誤解されますが、東京都職員とは、都内の市・区役所全部ということではなく東京都庁とその出先機関で働く職員のみを指します。
給与条例には、通常の月額給与のほかに扶養手当などの各種手当が規定されています。
月収や年収が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。↓
で、給与条例では手当の一環として、21条の「期末手当」と21条の2の「勤勉手当」が規定されており、このふたつを合わせたものが一般にボーナスと呼ばれています。
公務員のボーナス = 期末手当 + 勤勉手当
では、下でそれぞれについて見ていきましょう。
期末手当とは?
給与月額をベースにし、半年間職場に来て働いていたことに対するボーナスです。
職場に来てたことに対するボーナスということで、なんらかの理由で職場に来ていなければ、減額されてしまいます。(後述)
根拠規定
(飛ばしていいです)
東京都職員の給与に関する条例
(期末手当)
第二十一条 期末手当は、六月一日及び十二月一日(以下この条から第二十一条の二の三までにおいてこれらの日を「基準日」という。)にそれぞれ在職する職員(東京都規則で定める職員を除く。)に対して、それぞれ基準日の属する月の東京都規則で定める日(第二十一条の二の二から第二十一条の二の三までにおいてこれらの日を「支給日」という。)に支給する。これらの基準日前一箇月以内に退職し、若しくは地方公務員法第十六条第一号に該当して同法第二十八条第四項の規定により失職し、又は死亡した職員(東京都規則で定める職員を除く。)についても、また同様とする。
2 期末手当の額は、職員の給与月額に、次の表の上欄に掲げる職員の区分に応じて、同表の下欄に定める割合を乗じて得た額に東京都規則で定める支給割合を乗じて得た額とする。
(支給日)
第八条 期末手当の支給日は、次に定めるところによる。
一 六月に支給する期末手当にあつては六月三十日
二 十二月に支給する期末手当にあつては十二月十日
2 前項各号に定める日が日曜日に当たるときはその日の前々日を、同項各号に定める日が土曜日に当たるときはその日の前日を支給日とする。
3 前二項の規定にかかわらず、知事は、非常災害、給与事務のふくそうその他の理由により、前二項に定める支給日に支給することができないと認めた場合においては、別に支給日を定めることができる。
東京都職員の期末手当に関する規則
(支給割合)
第三条 条例第二十一条第二項の東京都規則で定める支給割合は、支給期間におけるその者の在職期間の区分に応じ、次の表に定める割合とする。
根拠規定の要約
これどういうことかというと、こういうことです。
①期末手当の支給対象
6月の期末手当は6月1日、12月の期末手当は12月1日の1か月前時点で在職していた人にのみ支給する。
例えば10月くらいに退職を考えている場合、11月1日時点で在籍していないと期末手当がもらえないので、11月1日までは働くか年休使うかして在籍し、その後辞めるということができますね。
②期末手当の支給日
6月の期末手当は6月30日、12月の期末手当は12月10日に支給する。
そのまんまです。国や基礎自治体などもおおむね同じ日に支給されます。
③職級による支給割合
期末手当の額は、職級によって給与月額に支給割合を掛けたものを支給する。詳細は下の表。
(21条の2の表を基にT村作成)
もとの表がわかりづらいのですごく簡潔につくりなおしました。
給料表と職級については、過去記事参照されたし。
公務員の給料は高い?安い?実態は? - 公務員は株で儲けてドヤりたい。
この表をみると、上の役職になるにつれて期末手当の支給割合が減っています。
上の役職の人はその分、勤務評定によって増減する勤勉手当(後述)の支給割合が多いためです。
つまり、役職が上がるにつれて成果給の割合が増えていくということですが、
このあたりも出世を躊躇う人が多くなる原因だと個人的に思っています。
成果給が好きならわざわざ公務員なんてならないですからね・・・。
ちなみに上の記事では、区では4級は係長と書きましたが、都において4級は課長級職員を指します。
どの級がどの役職を指すかは職場次第で違うということですね!
④在職期間による支給割合
期末手当の額は、在職期間によっては減額する。詳細は下の表。
12月の期末手当の場合、6月2日~12月1日までの間、何らかの理由で休んだ日数によって減額するということです。
年休とかはサボった内にカウントされないので、ここは主に休職とかの場合に関係あります。
普通の人は100/100(100%)を掛けることになるので減額されません。
逆に休職中の人は1日でも出れば10%もらえます。
モデル計算!
今回もモデルは、大卒・一般行政職で、1日もサボらず、扶養者なしの、
①22歳(新卒、主事)
②35歳(課長代理)
③50歳(課長)
で考えます。
12月のボーナスと仮定します。
期末手当の計算はいたってシンプルです。
期末手当 =
給与月額(給料月額+一部手当)×(職級による支給割合)×(在職期間による支給割合)
給与月額のうち一部手当とは、地域手当や管理職手当、扶養手当などを指します。
配偶者や子供がいたり管理職になっている場合は少し期末手当が多くなります。
なお、住居手当や通勤手当は含みません。
給料月額は、過去記事のとおり、給料表を適用します。
自治体によって額は微妙に異なっています。
(給料表はこちら)
http://www.saiyou.metro.tokyo.jp/pdf/kyuuryouhyou/kyuuryou_pdf/saisin_gyou1.pdf
①22歳主事の場合
給与月額(183,100+36,620)×職級による支給割合(137.5%)×在職期間による支給割合(100%)
=302,115円!!!
ちなみに給料月額の183,100円というのは初任給、昇格及び昇給等に関する規則に基づき、給料表の1級29号が適用されています。
36,620円は地域手当(給料月額の20%)です。
(初任給、昇格及び昇給等に関する規則より)
給料表
http://www.saiyou.metro.tokyo.jp/pdf/kyuuryouhyou/kyuuryou_pdf/saisin_gyou1.pdf
②35歳課長代理の場合
22歳で入庁して、5年目の主任試験に合格し、主任5年目(入庁10年目)に課長代理試験に合格し3年経った人を想定します。給料月額は、毎年4号昇給し、3級81号(386,500円)です。
最短何年で昇格できるかについては都人事委員会のHPを参考にしています。
給与月額(386,500+77,300)×職級による支給割合(137.5%)×在職期間による支給割合(100%)
=637,725円!!!
なんと新卒の倍以上になります!さらに実際は扶養手当がもらえる人もいるので、もっと多くなるでしょう。
③50歳課長の場合
②のモデルの5年後(40歳の時)に管理職試験Bに合格し10年経過した場合を想定します。
すると給料月額は給料表の4級97号(455,000円)が適用されます。この時点でやはり昇給は頭打ちになります。
ただし、課長の場合は特別調整額(管理職手当)がつきますので、給料表の額よりは多くもらえます。
職員の給与に関する条例
(給料の特別調整額)
第九条の二 管理又は監督の地位にある職員のうち特に指定するものについては、その特殊性に基き、第五条に規定する給料表に掲げられている給料額につき適正な特別調整額表を定めることができる。
(以下略)
(昭四七条例一三三・平九条例一一・平一八条例一四九・一部改正)
給料の特別調整額に関する規程
(範囲及び額)
第二条 給料の特別調整を行う職は、別表第一に定めるとおりとする。
2 前項の職にある職員に支給する特別調整額の額は、次の各号に掲げる職員の区分に応じ、当該各号に定める額とする。(中略)
上の表によると課長の管理職手当は92,600円です。
給与月額(455,000+91,000+92,600)×職級による支給割合(117.5%)×在職期間による支給割合(100%)
=750,355円!!!
新卒と課長代理の比較では倍くらいでしたが、
昇給のストップと職級による支給割合の低下によって50歳課長と35歳課長代理ではそこまで大きくは変わりません。
上に行くにつれて昇給度合いが少なくなっているのがわかると思います。
勤勉手当とは?
ここまで期末手当についてみてきましたが、上で述べた通り公務員のボーナスは、期末手当に勤勉手当を加えたものです。
勤勉手当は期末手当と特性が異なり、勤務成績による成果給的な要素が含まれているため、同じ号給の職員でも額が変わってきます。
根拠規定
(スルー推奨)
職員の給与に関する条例
(勤勉手当)
第二十一条の二 勤勉手当は、基準日にそれぞれ在職する職員(東京都規則で定める職員を除く。)に対し、その者の勤務成績に応じて、それぞれ基準日の属する月の東京都規則で定める日に支給する。これらの基準日前一箇月以内に退職し、若しくは地方公務員法第十六条第一号に該当して同法第二十八条第四項の規定により失職し、又は死亡した職員(東京都規則で定める職員を除く。)についても、また同様とする。
2 勤勉手当の額は、職員の給与月額に、任命権者が東京都規則で定める基準に従つて定める支給割合を乗じて得た額とする。この場合において、任命権者が支給する勤勉手当の額の総額は、次の各号に掲げる職員について、それぞれ当該各号に掲げる額を超えてはならない。
<中略>
4 前三項に規定するもののほか、勤勉手当の支給に関し必要な事項は、人事委員会の承認を得て東京都規則で定める。
職員の勤勉手当に関する規則
(成績率)
第三条の四 成績率は、基準日(基準日前一箇月以内に退職し、若しくは失職し、又は死亡した職員にあつては、退職し、若しくは失職し、又は死亡した日の前日。以下「基準日等」という。)における次の各号に掲げる職員の区分に応じて、当該各号に掲げる割合とする。<中略>
三 期末手当規則第三条の二第一項に規定する行(一)四級等職員(以下「行(一)四級等職員」という。)のうち再任用職員以外の者 職員の勤務成績により、一万分の〇以上一万分の一万八千以下の範囲内でそれぞれ任命権者が人事委員会の承認を得て定める割合
四 別表第一上欄に掲げる給料表に応じて同表下欄に定める職員のうち再任用職員以外の者 職員の勤務成績により、一万分の八千四百五十五以上一万分の一万五千以下の範囲内でそれぞれ任命権者が人事委員会の承認を得て定める割合
五 前四号に掲げる職員以外の職員のうち再任用職員以外の者 職員の勤務成績により、一万分の八千五百五十以上一万分の一万四千五百以下の範囲内でそれぞれ任命権者が人事委員会の承認を得て定める割合
<以下略>
根拠規定の要約
これも難しそうに書いていますが、ポイントは以下の通りです。
①支給対象、支給日は期末手当と同じ!
6月30日と12月10日に期末手当とあわせて支給されます。
②勤務成績による支給割合の範囲
4級(課長) 0.0000 ~ 1.80
3級(課長代理) 0.8455 ~ 1.50
2級(主任) 0.8550 ~ 1.45
1級(主事) 0.8550 ~ 1.45
上記の割合を給与月額に掛けて手当額を算出します。
期末手当の職級による支給割合と異なり、かなり幅があることがわかると思います。
勤務成績によってこの支給割合が変わります。
課長になると、最悪ゼロになってしまいますが、頑張れば月給の1.8倍がもらえることになります。かなり幅が大きいですね。
③在職期間による支給割合
期末手当同様、在職期間によって減額されます。
表はほぼ同じなので割愛します。
モデル計算!
では実際に計算してみましょう。
①22歳主事の場合
給与月額(183,100+36,620)×職務成績による支給割合(1.1525)×在職期間による支給割合(100%)
=253,227円!!!
職務成績による支給割合の詳細はブラックボックスになっていて計算方法がわかりません。
そのため、変動幅のちょうど真ん中の値を使っています。
②35歳課長代理の場合
給与月額(386,500+77,300)×職務成績による支給割合(1.17275)×在職期間による支給割合(100%)
=543,921円!!!
③50歳課長の場合
給与月額(455,000+91,000+92,600)×職務成績による支給割合(0.9)×在職期間による支給割合(100%)
=574,740円!!!
ここもやはり②のモデルとあまり変わりませんね。
50歳課長でも、勤務成績が真ん中程度では、同成績の35歳課長代理に勤勉手当とほとんど同じになってしまうんですね。
ボーナス合計は?
では最後に期末手当と勤勉手当の合計である、いわゆるボーナスをみてみましょう。
手取りの計算にはこちらのツールを使わせていただきます。
賞与の社会保険料、所得税、手取りのシミュレーション!税金の計算方法もしっかり解説! | 保険の疑問をしっかり解決
シミュレーションで使う「前月の給料」は上で出した「給与月額」を使用します。
①22歳主事の場合
期末手当302,115円 + 勤勉手当253,227円
=ボーナス額面555,342円!!!
ボーナス手取りはだいたい456,570円!!!
②35歳課長代理の場合
期末手当637,725円 + 勤勉手当543,921円
=ボーナス額面1,181,646円!!!
ボーナス手取りはだいたい 868,059円!!!
③50歳課長の場合
期末手当750,355円 + 勤勉手当574,740円
=ボーナス額面1,325,095円!!!
ボーナス手取りはだいたい 950,173円!!!
実際には扶養手当や控除などによって手取りは多くなりますが、おおむねこんな感じです。
管理職はオワコンか?
今回調べてて思ったのは、やはり管理職になるメリットの少なさです。
管理職は残業代が出ないため、実際の管理職と非管理職の給料の差はもっと少なくなっているということです。
ただし、実際の管理職は高確率で残業などなく定時で帰宅が可能なので、プライベートを大事にしつつそこそこ稼げるため、なりたい人も一定数います。
その分、常に競争にさらされるプレッシャーや議会・議員対応など選択を誤ると役所人生が大きく左右されるイベントがありますが、、、。
余談ですが、都や特別区等、一部の自治体では、かなり先進的な昇進制度をとっていて、試験を受けなければ管理職はおろか主任にもなることができません。
試験なしで自動的に主任や係長、管理職になれるという役所が多いですが、個人的には、昇進したい人だけが昇進し、したくない人はしなくていいと考えています。
私の職場にも、定年まで平で居続ける人や、降格人事を申し出る人までいます。
下っ端でいればプレッシャーも少ないですし、リーダーシップがなくても務まりますからね。
自分の生き方に合わせて昇進に向け頑張るかどうかは考えればいいのではないでしょうか?
住民のためになる仕事をちゃんとしていれば給料にある程度反映されるので、昇進ありきで仕事を頑張る人よりいいと個人的には思います。